Message

代表メッセージ

CEO

國井 翔太

代表取締役CEO

誰もやったことのない Third Door を叩く

Knock on the Third Door.

私たちはいま、時代の転換点に立っています。グローバル化を前提とした時代は終わり、世界は「経済安全保障(技術安全保障)の時代」へと移行しました。国家間の力学が変わり、技術・製造・サプライチェーンといった経済活動の要素が、そのまま交渉力となる。この環境下では、企業も自治体も、従来の延長線上では立ち行きません。調達先を変える、拠点を見直すといった表面的な対応にとどまらず、価値のつくり方そのものを組み替えることが求められています。

これからの競争は、単に「モノを作って売る」だけでは成立しません。体験や運用を含めた「コト」として価値を設計し、その枠組みの中で自社の不可欠性を確立する。言い換えれば、チョークポイントを見極め、そこを責任を持って担うことが生存条件になります。

本来、安全保障と科学技術は陸続きであり、チョークポイントを押さえる重要性も、安全保障的な視点で市場を見れば自然に導かれるものです。世界ではそれが当たり前ですが、日本では長くこの二つの領域に乖離がありました。だからこそ「経済安全保障」という言葉を改めて強調せざるを得なかったとも言えます。優れた要素技術や研究の蓄積がありながら、それが安全保障の現場で生かされてこなかった。世界では安全保障の文脈で莫大な投資を受けた企業が成長する一方、日本は出遅れています。この構造的な遅れを解決することが、すべての事業者にとっての「戦略の再設計」だと私は考えています。

では、この戦略の再設計を実際に担うのは誰でしょうか。政策や制度を整えるだけでは社会は変わりません。研究の知見を現場で使える形に落とし込み、試し、改善し、そのサイクルを繰り返す。こうした実務を担う主体が必要です。既存の大企業や行政がその役割を果たす場面は多くありますが、利害調整や手続きの複雑さから、変化のスピードを上げにくい局面も存在します。

その間を埋める存在として、スタートアップへの期待が高まっています。しかし実際には、スタートアップの社数が増えても、本当に必要な変化が起きているわけではありません。日本でもスタートアップブームと呼べる時期がありましたが、世界と戦える企業はまだ十分に生まれていません。国内の限られた市場に甘えていては、日本の構造的な課題は解決しないのです。スタートアップというからには、世界に目を向けるのは当然です。他社のトレースではなく、直線的な成長モデルでもなく、不連続な成長を実現できる戦略を描き、リスクを取る。そうした挑戦が求められています。

私たちが目指しているのは、安全保障という未開拓の領域で、研究と実運用を接続し、技術を社会に定着させる仕組みをつくることです。官と民、研究と現場、技術と運用が同じテンポで連携し、試作と実証の結果が次の設計に反映され、量産、運用、そして現場からのフィードバックが再び開発へと還っていく。そうした循環があって初めて、技術が社会の基盤として根づき、国の競争力となり、自由で開かれたインド太平洋を守ることにつながります。

この取り組みは、狭いマーケットで市場を奪い合うものではありません。私たちは、志ある企業、研究者、実務者とともに、技術の標準化、知財戦略、制度設計、調達の仕組みづくりまで視野に入れ、市場そのものを広げていくプレーヤーになることを目指しています。

この競争に、既存の枠組みの中で見つかる正解はありません。誰かが用意した道を歩くだけでは、勝ち筋は見えてきません。だからこそ、まだ開かれていない入口(Third Door)を探し、形にする。私たちは先陣を切って新しい取り組みを続け、これからの時代のモデルケースを示していきます。